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もの忘れ

もの忘れが激しい…?
症状をチェック

以下のような特徴や傾向がある場合には、認知症であることが疑われます。ご自身、またはご家族に当てはめてチェックをしてみてください。

もの忘れが激しい…?症状をチェック

  • 財布、鍵を置いた場所が分からなくなることがある
  • 5分前の話題を思い出せないことがある
  • 家族や友人などから「前もその話をしていた」と言われることがある
  • 今日が何月何日であるか、分からないことがある
  • 言おうとしている言葉が、すぐに出てこないことがある
  • 貯金の出し入れ、家賃・公共料金の支払い手続きが1人でできないことがある
  • 1人で買い物に行けない、自信がない
  • 電車・バス・車などを使って1人で外出できない、自信がない
  • 家事、洗濯、掃除などの習慣的な家事ができなくなってきた、手順が分からないことがある
  • 紙や携帯電話の電話帳で電話番号を調べ、人や店に電話をかけることが難しい

もの忘れ=認知症ではない!
老化と認知症の違いは?

もの忘れとは、何らかの記憶、物の名前、約束などを忘れてしまうことを指します。
若い人や子どもであっても、もの忘れをすることはあり、「もの忘れをするから認知症」とは限りません。
中高年のもの忘れは、認知症によるものと、老化によるものに大別されます。まずはその違いについて、正しく理解しましょう。

認知症 老化
体験そのものをすっぽりと忘れる(例:食事をしたこと自体を忘れる) 体験の中の細部を忘れる(例:食事の内容が何であったかを忘れる)
「〇〇だったでしょう」「約束したでしょう」と人に指摘されても理解できない・思い出せない 人に指摘されると理解できる・思い出せる
ヒントを与えられても思い出せない ヒントを与えられると思い出せる
習慣を忘れる・手順が分からなくなる 習慣は忘れない・手順も覚えている
日付、曜日が分からなくなる・答えられない 日付、曜日などを間違えることもあるが、答えられる・カレンダーや新聞などで調べて理解できる
自分がいる場所が分からなくなる 自分がいる場所が分からなくなることはまずない
失くしたものをすぐに「盗まれた」と考える 失くしたものがあってもすぐには「盗まれた」とは考えない
間違いを指摘された時に、つじつまを合わせるための作り話をする 間違いを指摘された時に、それを認める・謝罪する
いつも探し物をしている(場合によってはあるはずのないものを毎日、延々と探す) 探し物をすることはあるが、見つかることが多い
日常生活に支障をきたす 日常生活に支障をきたすことはほとんどない
理解力、判断力が低下する 理解力、判断力は低下しない

認知症とは

認知症とは認知症とは、ものごとを記憶したり、判断したり、正しい手順で行うための「認知機能」が障害され、日々の生活に支障をきたしている状態を指します。
原因にもよりますが、多くの場合、認知機能の低下は徐々に進みます。通常、グレーゾーンである「軽度認知障害」を経て、「認知症」に至ります。認知機能の低下を防ぐためには、軽度認知障害の時点で、あるいは認知症になってからできるだけ早く対応・治療することが大切になります。
代表的な症状であるもの忘れに加えて、理解力や判断力の低下、性格の変化(怒りっぽくなる・暴力的になる等)、不安感、憂うつ、興味・関心の低下など、さまざまな症状が見られます。

認知機能障害のタイプ

認知機能の障害(低下)として、以下のようなものが挙げられます。多くの場合、複数の障害が認められます。

記憶障害(もの忘れ)

  • 記憶を思い出すことができない
  • 同じことを繰り返し言う、尋ねる
  • 物を置いた場所を忘れる
  • 物を探し回る
  • 新しいことを覚えられない

実行機能の障害

  • 物事の計画を立てられない、計画通りに進められない
  • 習慣的な動作などの手順を忘れる、慣れ親しんだものの使い方が分からなくなる
  • 臨機応変な対応ができない

注意力の障害

  • 気が散りやすい
  • マルチタスクができない
  • ボーッとしていることが多い

言語の障害

  • 物や人の名前が出てこない
  • 人の言葉を理解できない
  • よどみなく喋ることが難しい

社会的認知・判断の障害

  • 簡単な判断や決断ができない
  • 人に共感する、同情することができない
  • 気持ちを抑制することができない
  • 善悪の判断が難しくなる(例:悪気なく万引きなどをしてしまう)

視覚認知の障害

  • 知っている人の顔、物が分からない
  • よく通っていた場所で道に迷う、どこにいるのか分からなくなる

精神運動速度の障害

  • ものごとを深く考えることができない
  • 考えて作業を進めることができない

認知症の
原因となる病気(種類)

認知症はその原因に応じて、大きく以下の4つに分けられます。
全体のうち、アルツハイマー型認知症が60~70%を、脳血管性認知症が約20%を、レビー小体型認知症が約4%を、前頭側頭型認知症が約1%を占めています。

アルツハイマー型認知症

認知症の原因としてもっとも多いのが、アルツハイマー型認知症です。
アミロイドやタウ蛋白といった物質が脳内に溜まることで、神経細胞が障害されます。
多くは記憶障害から始まり、比較的緩やかに進行します。徘徊も、代表的な症状の1つです。

脳血管性認知症

脳卒中に代表される脳血管疾患を原因として発症する認知症です。
呂律が回らない・言葉が出づらいといった言語障害、手足の麻痺などが初期症状として認められる場合があります。

レビー小体型認知症

レビー小体という物質によって脳の認知機能が低下します。
筋肉のこわばりと歩行障害、幻視(いない・ないはずの人やものが見える)など、パーキンソン病のような身体症状・精神症状をを伴うのが特徴的です。

前頭側頭型認知症

前頭葉または側頭葉の萎縮によって発症する認知症です。
50~60代という比較的若い世代で発症し、人格障害(性格の変化)を伴うことが多くなります。

認知症が一気に進む原因

認知症を改善させることは、とても難しいです。治療では、進行を緩やかにすることや問題となる症状を抑えることが重要です。
一方で特に以下のような状況にある場合には、認知症が早く進む可能性が高くなります。

脳への刺激が足りていない

外出しない、人と会わない・話さない、家事をしない(家族が手伝い過ぎてしまう)といったことで脳への刺激が不足していると、認知症が早く進行する原因となります。定年退職後など、趣味がない人は特に注意が必要です。

心身へのストレスが
かかっている

配偶者との死別や離婚による孤独感、経済的な不安、家族・親族とのトラブルなどによって慢性的なストレスがかかっていると、記憶力や認知機能が低下しやすくなると言われています。

急激な環境の変化があった

入院、施設への入所、転居といった急激な環境の変化は、脳の混乱・不安・恐怖などを招き、認知機能が低下することがあります。やむを得ず生活が変化する時には、適度な刺激がありつつ、ストレスが少ない環境を整えることが重要になります。

失敗を責められる

家族など身近な人から失敗を責められることは、ご本人にとって大きなストレスとなります。認知症に伴う症状については、自分ではどうしようもないことです。同じ話を何度もする等、ご家族にもストレスのかかる状況ですが、失敗を責めることは、できる限り避けなければなりません。

認知症の予防方法

生活習慣の改善

規則正しい生活を送ることで、脳からの毒素の排出が促され、認知機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
また、正しい生活習慣で糖尿病や高血圧症・脂質異常症を予防すること、きちんと治療をすることは、脳卒中や脳梗塞を原因とする脳血管性認知症の予防となります。

他人との交流

家族や友人と顔を合わせること、喋ること、一緒に何かすることは、脳への良い刺激となり、認知症の予防に役立ちます。特に定年退職後、子どもの独立後は、どうしても人との交流の機会が減少します。自分から機会をつくり、誰かと交流を持ち続けることが大切です。

適度な運動や五感の刺激

適度な運動散歩、水泳、ヨガなどの有酸素運動は、脳の血流を改善し、認知機能の維持・向上に役立ちます。
また、脳血管性認知症の予防のための運動療法としても有効です。散歩仲間を作る、運動サークルや清掃ボランティアに参加するなどの取り組みもおすすめです。匂い、音、景色(素晴らしいものや本人と関係の深いもの)などにより五感を震わせられるような体験も大切です。

認知症が疑われるときは
早めの受診を

認知症が疑われるときは早めの受診を認知症は、進行性の病気です。また原因疾患、生活環境によっては、認知症が一気に進行してしまうというケースもあります。
早期診断・早期治療によって、進行を遅らせることが、その後の心身の健康を守ることにつながります。
ご自身が、あるいはご家族が認知症かもしれないと感じた時には、少しでも早く当院にご相談ください。

2023年以降、レカネマブ(レケンビ®)やドナネマブ(ケサンラ®)といった抗アミロイドβ抗体医薬品が、本邦で保険適用となりました。軽度の認知機能障害、および軽度の認知症の患者さんが適応で、アミロイドβタンパクを除去することで、症状の進行を遅らせる働きがあります。このお薬を使うことができる患者さんは限られていて、診断をはっきりつけて進まなくてはなりません。当院では、ご希望がある方に、このお薬の利点・欠点を説明した上で、認知症の程度を判断し、診断・治療が可能な施設に紹介することができます。薬剤投与に至り、6ヶ月経過後は、当院で点滴治療を行うことができます。ご了承ください。