このような症状はありませんか?
正座をした後、不自然な姿勢で寝てしまった後などに起こる一時的な痛み・しびれは、多くの人が一度は経験がおありかと思います。このような、日常生活で身体の一部を圧迫した直後に起こる痛みやしびれについては、基本的に心配ありません。
しかし、特に何もしていないのに痛み・しびれが出た、すぐに治まるけれど繰り返し痛む・しびれる、身体の片側が痛む・しびれるといった場合には注意が必要です。
痛みやしびれ、付随する具体的な症状には、以下のようなものがあります。
- 指先がしびれる、ピリピリ痛む
- ペンや箸がうまく持てない、使えない
- 物を掴みにくい、不意に落としてしまう
- シャツのボタンがうまく留められない
- 力が入らない、動かせない
- 室内などでよくつまづく
- 感覚が低下している
- 歩きづらい
- 手足の冷感
- 長く歩くと脚がしびれ、休憩をしないと歩行を再開できない(間欠性跛行)
手足のしびれ・
痛みはなぜ起こる?
もっとも身近な足のしびれ・痛みの1つとして、正座をした後に起こるものがあります。
これは、神経や血管が一時的に圧迫されるために起こるしびれ・痛みであり、圧迫からの解放後、短時間で解消します。
一方で、脊椎・脊髄、脳、神経などの疾患を原因としてしびれや痛みが起こることもあります。その場合、多くは疾患によって神経が圧迫されることで、慢性的または繰り返されるしびれ・痛みが生じます。疾患を原因とする場合、しびれや痛みを改善・解消するためにはその疾患を治療する必要があります。
手足のしびれ・痛みの
原因として考えられる病気
脊椎脊髄の病気
変形性頚椎症
加齢、激しい運動、外傷などによって頚椎が変性して神経を圧迫する病気です。首の痛み、手のしびれ、指先の感覚低下などの症状が見られます。進行すると、下肢に症状がおよび、歩行が困難になるおそれもあります。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気です。首の痛みや肩こり、上肢の痛み・しびれ・むくみ・筋力低下などの症状を伴います。進行し、症状が下肢に及ぶこともあります。
加齢や外傷だけでなく、ラグビーやアメリカンフットボールをはじめとするコンタクトスポーツなども原因となり得ます。
頚椎靭帯骨化症
背骨の後方を通り、脊椎骨と脊椎骨を連結している靭帯が、骨のように硬くなって神経を圧迫する病気です。手のビリビリとした痛み・しびれ、指先を使った作業の困難といった症状を伴います。また進行すると、歩行障害をきたすことがあります。
腰部脊柱管狭窄
腰の脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気です。腰痛や脚のしびれ、歩きづらさ、間欠性跛行、下肢の筋力低下といった症状を伴います。進行し、排尿障害・便秘をきたすこともあります。
主な原因として、繰り返しの腰への負荷、肥満などによる黄色靭帯の肥厚が挙げられます。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化によって血管が狭くなることで、脚の血管が障害されることを指します。
脚のしびれや痛み、間欠性跛行などの症状を伴います。
動脈硬化は、加齢、生活習慣病などによって進行します。
脳の病気
脳卒中(脳血管障害)
脳出血、脳梗塞などの脳卒中の症状として、手足のしびれ、呂律が回らない、意識低下などが現れます。特に、身体の左右のどちらか片側にしびれが出ている場合には要注意です。ただちに医療機関を受診してください。
神経の病気
手根管症候群・
足根管症候群
手根管症候群とは、手や手指の運動・感覚を司る正中神経が障害される病気です。手・手指の痛みやしびれといった症状を伴います。症状は特に、夜間~明け方にかけて強く現れます。手を動かすことで一時的に症状が和らぐという特徴もあります。主に、骨折、運動による酷使、妊娠・出産などが原因になると言われています。
足根管症候群は、腫瘍、ガングリオン、扁平足、外傷などを原因として、足裏を支配する後脛骨神経が圧迫される病気です。歩く時・靴を履く時の痛みやしびれを伴います。
多発性硬化症
脳、脊髄、視神経など複数の部位で病巣ができる難病です。手のしびれやふらつき、視力低下、排尿障害などさまざまな症状がさまざまなタイミングで引き起こされます。
何らかの原因によって、免疫が自身の細胞を攻撃することで、障害をきたします。
内科の病気
糖尿病性神経障害
細い血管で動脈硬化が進行することで神経障害を起こすという、糖尿病の代表的な合併症です。
手足(特に足)のしびれ、足裏の違和感、痛みなどの症状を伴います。
ビタミン欠乏
ビタミンの欠乏によって、神経障害をきたすことがあります。
極端な偏食、多量飲酒(まともな食事を摂らない)、無理なダイエットなどが主な原因となります。
手足のしびれ・
痛みがある時の
検査方法
脊椎や脊髄の病気、脳の病気が疑われる場合には、問診・神経診察に加え、CT検査・MRI検査などを行います。MRI検査では、下肢動脈の評価も可能です。
また血管の狭窄・閉塞が疑われる場合には、血液検査・血流検査・血管造影検査などを行います。
さらに神経炎や神経障害が疑われる場合には、神経伝導検査・神経生理学的検査が有効です。
このように、疑われる疾患に応じて必要な検査を行い、正確な診断につなげます。当院では脳や脊髄のMRI以外に、下肢の血流を評価することもできます。いつでもご相談ください。
治療方法
主に、内服・注射・体外衝撃波・リハビリテーション・物理療法などを行います。
これら保存的治療で十分な効果が得られない場合には、外科的な治療をご案内します。
内服
糖尿病性神経障害である場合には、薬物療法による血糖コントロールを行います。また並行して、食事療法・運動療法も必要です。急激な血糖降下はいくつかの問題を生じるので、慎重に進めます。
また必要に応じて、鎮痛剤などの痛みを抑える薬を使用します。
注射
脊椎脊髄の病気、神経の病気を原因とする場合には、その神経の周辺に局所麻酔薬やステロイド剤を注射する「神経ブロック」が有効になります。
体外衝撃波
音波の一種である体外衝撃波を当てることで、痛みの軽減を図ります。血流の改善、血管新生の促進による組織の修復作用も期待できます。
リハビリテーション・物理療法
専門のセラピストによる適切な施術も効果的です。
温熱療法、電気療法、リラクゼーション療法などの物理療法も有効です。