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頭痛(片頭痛含む)・頚部痛・腰痛

頭痛

頭痛の症状チェック
(HIT-6)

頭痛の症状チェック(HIT-6)慢性的な頭痛の日常生活への影響を把握するには、「HIT-6(Headache Impact Test-6)」が有用です。
総合得点の最高点が78、最低点が36となり、スコアが大きいほど日常生活の影響は大きいと判定されます。
また、スコアに応じた適切な対応が導き出されます。

  1. 頭が痛い時、痛みがひどいことがどれくらいありますか
  2. 頭痛のせいで、日常生活に支障が出ることがありますか
  3. 頭が痛い時、横になりたくなることがありますか
  4. この4週間に、頭痛のせいで疲れて、仕事やいつもの活動が出来ないことがありましたか
  5. この4週間に、頭痛のせいでうんざりしたりいらいらしたりしたことがありましたか
  6. この4週間に、頭痛のせいで仕事や日常生活の場で集中できないことがありましたか

(最高点78点  最低点36点)

全くない 6点
ほとんどない 8点
時々ある 10点
しばしばある 11点
いつもそうだ 13点

スコアが50点以上の頭痛が強い方は、頭痛外来受診が推奨されます。

頭痛(一時性頭痛)
の種類…
症状や痛む場所の違い

特定の疾患を原因としない「一次性頭痛」には、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛があります。
国内での有病率は、緊張型頭痛が22.3%、片頭痛が8.4%、群発頭痛が0.3%となっています。複数の一次性頭痛を抱えている患者さんも少なくありません。
それぞれ、その特徴をご紹介します。

  緊張型頭痛 片頭痛 群発頭痛
症状 締め付けられる、圧迫されるように痛む ズキンズキンという拍動性がある痛み えぐられるような激しい痛み
痛む箇所 多くは頭の左右両側が痛む 頭の片側または両側が痛む 目のまわりや奥、前頭部、側頭部が痛む
持続時間 30分~1週間 4~72時間 15分~3時間
特徴
  • 軽度~中等度の頭痛
  • 首や肩のこりを伴うことも
  • 吐き気、嘔吐は伴わないことが多い
  • 光、音、においなどに過敏になることが多い
  • 吐き気、嘔吐を伴うこともよくある
  • 日常的な動作によって悪化しやすい
  • 1年に1~2回、数週間~数カ月にわたって、毎日ほぼ同じ時間帯に頭痛が現れる
  • 夜間の発作が多い
  • 目の充血、涙があふれる、鼻水・鼻づまりを伴うことが多い

緊張型頭痛

症状
  • 頭全体が締め付けられる、圧迫されるような痛み
  • 首、肩のこり
原因・予防

首や肩の筋肉の緊張が主な原因と言われています。そのため、長時間のパソコン作業・運転をする人によく見られます。
予防法としては、長時間の同じ姿勢を避ける、小まめに休憩を挟みストレッチをする、普段から適度な運動をする、ゆっくりと湯船に浸かるなどの方法が挙げられます。

片頭痛

症状
  • 頭の片側または両側のズキンズキンという痛み
  • 光、音、においへの過敏
  • 吐き気、嘔吐
原因・予防

ストレス、過労、光・音・においの刺激、ホルモンバランスの変化などを原因として、三叉神経が刺激され炎症性サイトカインが作られることで発症すると言われています。
予防のためには、ストレスを解消する、寝不足・寝過ぎを控える、お酒を控える、人込み・騒音を避けるといった方法が挙げられます。
また、片頭痛の予防薬も有効です。様々な薬が発売され、治療効果が確認されています。

群発頭痛

症状
  • 目のまわりや奥、前頭部、側頭部などをえぐられるような激しい痛み
  • 目の充血、涙があふれる
  • 鼻水、鼻づまり
原因・予防

はっきりとした原因は未だ解明されていませんが、飲酒、喫煙、血管拡張剤の使用などによって炎症が起こり、痛みにつながるものと考えられています。
予防においては、飲酒や喫煙を控えることが大切です。

危険な頭痛
(二次性頭痛)

危険な頭痛(二次性頭痛)一次性頭痛に対して、緊急性が高いのが二次性頭痛です。くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎・脳炎などを原因として起こる頭痛であるため、命に関わる場合があります。
特に以下のような症状があった時には、すぐに医療機関を受診してください。

  • 突然の、頭をバットで殴られたような激しい頭痛
  • 片側の手足のしびれ、力が入らない、歩けない
  • 呂律が回らない、言葉が出てこない
  • 物が二重に見える
  • 意識の低下
  • 吐き気、嘔吐
  • けいれん

くも膜下出血

脳動脈瘤が破裂し、くも膜下腔に血液が溜まっている状態です。
バットで頭を殴られたような強烈な頭痛、吐き気・嘔吐、意識障害などの症状を伴います。

脳内出血

高血圧や糖尿病、加齢などに伴う動脈硬化を原因として、脳血管が破れた状態です。
頭痛、手足のしびれ・麻痺、呂律が回らない、吐き気・嘔吐などの症状を伴います。頭痛は、必ずしも激しいものとは限りません。

脳腫瘍

多くは良性ですが、良性であっても腫瘍が大きくなると、脳を圧迫し障害をきたします。
腫瘍の場所によって異なりますが、症状としては運動麻痺や言語障害、視力障害など様々なものが挙げられます

髄膜炎・脳炎

ウイルスや細菌の感染が髄膜に及び炎症をきたしたものが「髄膜炎」、脳に及び炎症をきたしたものが「脳炎」です。
髄膜炎では拍動性の強い頭痛・高熱が、脳炎では発熱・意識障害・けいれん等が見られます。

慢性硬膜下血腫

外傷などを原因として硬膜と脳の間に出血し、1~2カ月をかけて形成される血腫です。血腫が脳を圧迫することで、頭痛、吐き気、手足のしびれ、運動麻痺、尿失禁、認知機能の低下などの症状が引き起こされます。

頭痛の検査と
診断

頭痛が認められる場合には、主に以下のような検査を行い、診断します。

問診

いつどのような頭痛があったのか、痛みの性状、痛む部位、発症後の変化、前兆の有無などについて詳しくお伺いします。
既往歴・家族歴、服用中の薬などについてもお尋ねします。

頭部MRI検査

磁力と電磁波によって、頭部の断層画像を撮影します。
脳などやわらかい組織、血管の撮影に適しています。
特に、脳動脈瘤・くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎などの早期発見に役立ちます。

頭部CT検査

X線によって、頭部の断層画像を映し出します。
短時間で検査が行えます。
特に、脳内出血、その他の頭蓋内出血、脳挫傷、骨折などの早期発見に適しています。

髄液検査

脳脊髄液を採取し、そこに含まれるタンパク質・糖の量、細胞の数・形などを調べる検査です。
局所麻酔をかけた上で、背中を丸めて脳脊髄液を採取します。くも膜下出血、髄膜炎などの診断に役立ちます。

血液検査

白血球数の変化、炎症反応の有無、髄膜炎などの感染症の有無を調べるための検査です。ただし、確定診断のためには画像検査など他の検査も必要な場合が多いです。

頭痛の治療

頭痛の治療においては、頭痛の原因や誘発因子を問診・検査で明らかにした上で、その原因に対してアプローチすることが大切です。
一般的には、薬物療法や生活習慣の改善によって、頭痛の軽減・解消を図ります。

原因・誘発因子の究明

生活習慣の乱れ、ストレス、環境、特定の行為など、できる限り原因や誘発因子を絞り込み、可能な範囲で取り除きます。
「〇時くらいに頭痛がする」「〇〇をした時に頭痛がする」という経験があれば、問診の際にお伝えください。

薬剤の正しい利用

薬物療法では、主に鎮痛薬を使用します。ただし、鎮痛薬を予防的に使用することは良くありません。薬物乱用頭痛になることがあるためです。
頭痛を予防したい場合には、医師から処方された「予防薬」を使用します。特に片頭痛の予防薬の開発は、近年飛躍的な進歩を遂げています。1~2カ月に1回の注射によって、片頭痛の強い予防効果が期待できます。当院でも注射薬による予防治療を行うことができます。

服薬指導

服薬のタイミングは、お薬の効果や副作用に影響します。
お薬の種類、また患者さんに合った服薬のタイミングを指導いたしますので、お守りください。

生活習慣の改善

規則正しい生活リズムを取り戻すこと、食事バランスを整えること、適度な運動をすること、ストレスを解消すること、十分な睡眠をとることなどで、頭痛が改善する患者さんは少なくありません。喫煙、飲酒を控えることも大切です。

首の痛み(頚部痛)

首の痛み(部痛)「首が痛い」という場合には、筋肉・関節の問題、神経の問題についてそれぞれ疑う必要があります。
日常生活への影響も大きいため、できるだけ早く当院にご相談ください。

急な首の痛みの原因と治療

急性疼痛性頚部拘縮

いわゆる「寝違え」のことです。首~肩の痛み、可動域の低下といった症状を伴います。
睡眠中の不自然な姿勢、寝返りの不足などを原因とします。また、首に大きな負担をかけるトレーニング・運動などを原因として発症することもあります。
まず第一に、安静の上、アイシングなどを行います。ブロックが有効なこともあります。炎症が治まれば、ストレッチやリラクゼーション・マッサージも有効です。

頚椎椎間板ヘルニア

背骨を構成する脊椎骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気です。首・肩・腕の痛み、手のしびれなどの症状を伴います。
慢性的な首への負荷が原因となるため、スポーツ選手にもよく見られます。
治療では、ネックカラーによる頚部の安静、薬物療法が行われます。これら保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術を検討します。

頚椎捻挫

足首でよく起こる「捻挫(ねんざ)」が首で生じたものです。いわゆる「むち打ち症」のことを指します。
交通事故などの衝撃によって、首が鞭のようにしなることを主な原因とします。受傷後すぐ、あるいはしばらくしてから首の痛み、可動域の低下、吐き気、頭痛などの症状が現れます。
ネックカラーによる頚部の安静、薬物療法などが行われます。

頚椎偽痛風

頚椎の1番上の骨に、ピロリン酸カルシウムが沈着して炎症を起こす病気です。強い首の痛み、可動域の低下、発熱などの症状を伴います。感染や他の病気との鑑別が難しいことがあります。
治療では、安静の上、消炎鎮痛剤やステロイドの内服などを行います。

石灰沈着性頚長筋腱炎

頚椎に付着している「頚長筋」に、ハイドロキシアパタイトが沈着して炎症を起こす病気です。急な首の痛み、飲食物の飲み込みづらさなどの症状を伴います。感染や他の病気との鑑別が難しいことがあります。
治療では、安静の上、消炎鎮痛剤の内服を行います。

慢性的な首の痛みの原因と治療

頚肩腕症候群

首、肩、腕にかけての痛み・しびれを伴う疾患です。
不良姿勢、長時間の同じ姿勢などが原因と言われています。
ストレッチや筋トレなどの適度な運動によって改善します。症状が強い場合には、薬物療法を併用します。

頚椎症

主に加齢を原因として首の骨が変形し、脊髄・神経が圧迫される病気です。手のしびれ、時に首の痛みが見られます。
ネックカラーによる安静、薬物療法などを行います。重症例では、手術が必要になることもあります。

関節リウマチ

関節の内面を覆う「滑膜」で炎症が起こる病気です。通常、関節のこわばりや痛みなどの症状がまず手首や手指で現れます。進行すると他の関節でも同様の症状が現れ、さらに関節の変形や脱臼に至ることもあります。
治療では、適度な運動、食生活の改善、薬物療法・リハビリテーションなどを行います。場合によっては、手術が必要になります。

靱帯骨化症

首の脊髄が圧迫されることで、首の痛み、手足のしびれなどの症状が引き起こされます。
遺伝的要因、性ホルモンの異常、ビタミンD・カルシウムの代謝異常、糖尿病などが原因になると言われています。
治療では、ネックカラーによる安静、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の内服などを行います。重症例では、手術が必要になることもあります。

外傷・事故

交通事故、高い位置からの落下、激しい転倒などによって首に痛みが生じることがあります。しばしば、しびれなどの神経症状を伴います。
手術が必要な場合もありますが、まずは正しい診断が重要です。

腰痛

腰痛の原因

腰痛の原因男女とも、最も訴える患者さんが多く、国民病とも言える腰痛ですが、その原因はさまざまです。
腰に要因がある場合と、腰以外に要因がある場合があります。

腰(脊柱)が要因の場合

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気です。お尻や脚の痛み・しびれ(坐骨神経痛)、脚の動かしづらさ、歩きづらさ、排尿障害などの症状を伴います。
不良姿勢、激しい運動、加齢などが主な原因として挙げられます。

脊柱管狭窄症

背骨の神経の通り道である「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される疾患です。腰痛や脚のしびれ、歩きづらさ、間欠性跛行、下肢の筋力低下、排尿・排便障害などを伴います。
腰に負荷をかける繰り返しの運動、肥満、圧迫骨折や側弯症に伴う骨の変形、喫煙、糖尿病、ストレスなどが原因として挙げられます。

圧迫骨折

上下からの圧迫によって生じる背骨の骨折です。背中や腰の痛みを伴います。
多くは、背景に骨粗鬆症があります。骨粗鬆症が進行すると、尻もち、くしゃみ・咳などでも圧迫骨折が起こります。特に閉経後の女性は、女性ホルモンの分泌が急激に減少することから骨粗鬆症のリスクが高くなります。定期的に骨密度検査を受けましょう。

がん転移・炎症・内臓疾患

がんが背骨に転移した場合、腰への負荷により筋肉で炎症を起こした場合、腎臓・膵臓・卵巣・子宮の病気がある場合など、腰痛が発生することがあります。がんの転移が疑われる場合、MRIを用いたDWIBS検査も有用です。

ぎっくり腰

運動不足、加齢に伴う腰椎の変形などが背景にある状態で、腰を動かした時に発症するのが、ぎっくり腰です。しばしば、例として挙げられる「重い物を持ち上げた時」だけでなく、些細な腰の動作でも発症することがあります。

腰以外が要因の場合

解離性大動脈瘤をはじめとする血管の疾患、尿管結石などの泌尿器の疾患、子宮筋腫・子宮内膜症といった婦人科疾患、胆嚢炎・十二指腸潰瘍といった消化器疾患、変形性股関節症などを原因として腰に痛みが生じることもあります。

検査と診断

問診の上、レントゲン検査、CT検査、MRI検査、血液検査、筋電図検査などを行い、診断します。

治療

保存療法

薬物療法では、非ステロイド系の消炎鎮痛薬・湿布薬、筋弛緩薬、血流改善薬、ビタミン剤などを用います。強い痛みがある場合には、神経ブロック注射も行います。
痛みが落ち着いてからは、姿勢や運動フォームの改善、リハビリテーションなども積極的に行います。

手術

上記の保存療法で十分な効果が得られない場合、すでに日常生活に重大な影響が出ている場合などには、手術を検討します。
手術が必要になった場合には、提携する病院等を速やかにご紹介します。